徳島県「御所 社乃森」で平安に宿す

桜が満開を迎えた4月初旬のとある日、京都駅から車で約2時間半、徳島県阿波市の山間にひっそりと佇む「御所 社乃森」に一泊させて頂きました。

 

予約時に私達が期待していたのは以下の3つ。

・寝殿造りのお部屋に泊まれること

・平安装束の着付け体験ができること

・平安の遊び(三種香)が体験できること

 

しかし実際は、上記も勿論のことながら、全体的に予想を遥かに超えたクオリティの高さと申しますか、細部まで徹底したこだわりを感じる造りとおもてなしの内容に終始感嘆するばかりでした。

あまりにも素晴らしかったので、平安時代を愛でる方に少しでもこちらの宿の存在を知って頂きたいという老婆心が働き、このサイトを作成するに至った次第です。

 

以下、写真と共に簡単にご紹介させていただきます。


寝殿(お部屋)

この雰囲気、お分かりいただけるでしょうか…。夢にまで見た原寸大の平安式寝殿に声すら出ませんでした。

現代を感じさせるものはなるべく目に入らないよう上手に隠してあります。板張りの床の上に、寝床と机のある場所にだけ畳が敷かれているという徹底振り。間接照明を消すと灯台型の電球だけが灯り、平安時代にタイムスリップしたような錯覚を覚えます。テレビもなく、聞こえるのは庭の竹の葉が揺れる音と、山鳥と鶯の美しい鳴き声だけ。翌朝、御簾越しに朝日が差し込んでくる様子は、言葉では到底表現できないほど感動しました。

 

浴室は窓を開けると広廂に繋がっていて半露天状態になります。洗面台は二つあり、トイレは真新しいウォシュレット付き温水便座。ロクシタンのアメニティなどがさり気なく置いており、そこここに嬉しい心遣いが感じられます。冷蔵庫にはアルコールも入っており、全て飲み放題。冷暖房もしっかり効くので、寒さは全く感じませんでした。


平安装束着付け体験とお遊び

女性なら十二単衣か小袿を選ぶ方がほとんどかと思いきや、私達のように直衣・狩衣を希望する方も意外といらっしゃるそうです。十二単衣や小袿はまたどこかで着る機会がありそうですが、直衣と狩衣はおそらくここでしか着られない!と思い、嬉々としてこちらにしました。着付けもしっかりしていただき、身も心も平安貴族になった気分です。記念撮影をした後はお遊びの時間へ。


1つ目のお遊びは聞香。香を三回聞き、同じ香があるかないかを当てるゲームです。今回は二つ目と三つ目が同じ香だったので、「琴の音」という香図が正解でした。二人とも当たり^^

2つ目のお遊びは投扇興。スタッフさんにかしずかれて「お上手です~!」と褒められまくる様は、まるでお座敷遊びのよう…。正直、大変気持ちがよかったです。。僅差で私が負けました^^;


お遊びが終わった後は私達のカメラで記念写真をたくさん撮っていただき、部屋着に着替えて舞の鑑賞へ。通常屋外の舞台を使うそうですが、この日は雨だったため、受付から見える広廂で舞っていただきました。受付と言っても神社のような雰囲気なので全く違和感はなく、神聖な舞をじっくり堪能させていただきました。


お食事(夕餉・朝餉)

夕餉は6時半から。語彙力のなさを痛感するばかりなのですが、とにかく美味しかった!の一言です。素材の味がしっかり感じられる薄味で、お箸をつけてしまうのが勿体ないくらい大変雅な盛り付けでした。熱燗の入った酒器がとにかく可愛い!お酒からちょっと顔を出す兎の盃で、杯が進む進む。お料理の品数もたっぷりありますので、男性の方でも充分満足できると思います。食前酒が徳島名産のすだち酒でした^^


朝餉は籠に入った見た目も彩りも綺麗なものでした。優しいおかゆが体に染み渡ります。雨はすっかり上がり、緑が眩しいお庭を眺めながらゆっくりと頂く朝食は格別でした。朝餉のあとは野点。女将さんが自ら点ててくださるお抹茶と干菓子を、お屋敷とお庭、周囲の山々を一望できる簀子でのんびり頂きました。帰りたくない…と何度口にしたことか。


その他

*源泉掛け流し温泉と極上マッサージチェア*

舟形の大きな露天風呂にはヌメりのある源泉が溢れ、時間を忘れるほどゆっくりと浸かることができました。まさかお風呂が温泉だとは思っていなかったので、嬉しい誤算でしたね。たまたま、私達が宿泊した日は他にお客さんがいなかったので、完全貸切状態でお湯を堪能させて頂きました。

脱衣所にはマッサージチェアがあります。今まで見たことがないほどの多機能さと、足まですっぽり包み込むほどの大きさで堪らず身を委ねました。なんと無料!


 

*御所阿波宮*

宿の中心には阿波神社(徳島県鳴門市)から分祀を受けた「御所阿波宮」という神社があり、女将さんが神職を務められております。御祭神は「第八十三代 土御門天皇」。鎌倉時代の天皇である土御門天皇は、承久の乱後、京からこの阿波の地へ移り住み、この地で崩御されたそうです。そのため、この阿波の地は土御門天皇ゆかりの地として「御所」という地名がつけられたそうな。 この神社では毎日朝夕に御祈願が行われるそうで、希望者は参拝も可能です。


Photo Gallery


Plan & Impression

今回私達が予約したのは"春限定!「平安王朝満喫の旅プラン」"です。

一日の流れは↓こんな感じでした。

 

①15:30到着(チェックイン) 

袴を着たスタッフの方が駐車場までお迎えに来てくださいました。ここですでに1感動。受付では、女将さんが小袿に近いお姿でお出迎え。受付自体もまるで神社に来たような雰囲気でさらに感動。

 ↓

②お部屋にてお茶とお菓子を頂く

雅楽の音が遠く響く透渡を通っていよいよお部屋へ。妻戸を開けると、御簾に囲まれた寝所が目の前に。お着きのお菓子として、さくらの練りきりとお煎茶を頂きました。緑色のおしぼりがとても可愛らしい。

 

③部屋着に着替える

残念ながら部屋着の写真がないのですが、薄紫の袴っぽいものに緑の着物を羽織る可愛らしいものでした。詳細は公式HPへ。

 

④別室にて平安装束着付け

友人は直衣、私は狩衣を着ました。他に、十二単衣と小袿もあります。着付けは一人につき二名のスタッフさんが付いて、丁寧に着せてくださいます。何もせず、手を広げて前後に控えるスタッフさんに着せてもらう様子は、本物の平安貴族のようでした。(着付け体験は宿泊費とは別料金がかかります)

 

⑤平安装束で記念撮影

平安装束で記念撮影。当日は雨だったので、広廂で撮影しました。晴れていればおそらくお庭なのだと思います。後日、庭で撮った別の写真と共に郵送してくださいます。(フォトフレーム付き)

 

⑥聞香体験

平安装束のまま、三種香という三種のお香を当てる聞香を体験しました。使った回答用紙は頂くこともできます。

 

⑦投扇興

平安装束のまま、扇を蝶(的)に投げて落ちた形の得点で競う投扇興という遊びをしました。この時の得点表も記念に頂くことができます。

 

⑧舞の観覧

神職も兼任されているスタッフの女性と女将さんがそれぞれ舞ってくださいました。 息をのむ美しさと適度な緊張感で、言葉もなくただただ魅入ってしまいました。

 

⑨夕餉

大満足!お酒を数本頼み、部屋で宴の続きを…。


⑩お風呂

源泉掛け流しの露天風呂です。大きな船のような湯船で最高に気持ちがよかったです。この日はたまたま他に宿泊客がいなかったので、完全貸切状態でした^^

⑪朝餉

おかゆが特に美味しかったです。量が多めだったので、お昼はいらないくらいでした。

⑫野点

広廂で鶯の声を聞きながら干菓子とお抹茶を頂きました。あまりに心地良くていつまでも立ち上がれずに景色を眺めていたために、チェックアウト時間を少し過ぎてしまいました。名残惜しい気持ちを持ちつつ、会計を済ませて駐車場へ。スタッフの方は駐車場まで来て見送ってくださいました。

 

 

 

*まとめ*

最初から最後まで感動と興奮で満たして頂きました。後日、自宅宛にフォトフレーム付きで写真が届き、さらに女将さん直筆のお手紙まで入っていたことに、思わず「完璧です!」と叫んでしまうほど、隅々まで行き届いた温かい心遣いを感じました。通常の宿泊費に比べれば若干お高いですが、この雰囲気と設備、サービス内容を考えるとむしろ安いと感じるくらいです。唯一残念だったのは、あまりに感動しすぎてあまり写真を撮れなかったことです(笑)部屋の雰囲気、屋敷の空気に浸りすぎてしまい、その場にそぐわない電子機器を操作するという気持ちすら起きなかったのは驚きでした。

平安王朝に興味のある方には全力でオススメしたい、素晴らしい場所でした。また次回も利用させて頂きたいと思います^^

 

 

公式HPはこちら↓

「旅殿 御所 社乃森」